パラソル付きヘルメットの開発
(+パラソルショルダーの追っかけ開発)
先日炎天の球場に野球を見に行った。行きは良かった。会話も弾んで楽しかった。帰りは無言。放心状態でグッタリ。強烈な日光を浴び続け、私も嫁も友達も危機的状況に陥った。
「ああ、パラソル付き帽子が欲しい」
試合の途中、隣の知らないおばさんが遠い目でそう言った。
(パラソル付き帽子?麦わら帽子の事か?)
そう思っていたら、更に奥の知らないおばさんが「ほんと麦わら帽子が欲しい」と続いてくれた。
「あれじゃダメ、こういう日はパラソルぐらいドーンとしてなきゃ役に立たんでしょ」
なるほど、球場を見渡すと麦わら帽子が数名いた。が、役に立ってるようには見えなかった。おばさんが言うように炎天の日は体丸ごと日陰にしなきゃ意味がなかった。
自宅に帰った後、インターネットで「パラソル付き帽子」と検索した。パーティー用のアイテムはあったけれど、どれも小ぶりなパラソルで実用的ではなかった。
「ちゃんとしたパラソル付き帽子はないのか?」
試しに作ってみようと思った。倉庫を探すと使い古しのパラソルがあった。直径180センチと書いてあった。
「よし!これなら体丸ごと日陰になる!」
バンドソーでポールを切った。切りながら気付いた。
「帽子にコレを固定するのは無理がある」
基本構想を帽子からヘルメットにチェンジした。
「パラソル付きヘルメット、その名も常に日陰の人プロジェクト!」
まずは着脱可能なようにポールの連結部分を残し、ヘルメットの頂点に22ミリの穴を開けた。穴はギリギリがいい。ポールの直径は22.4ミリ。パラソルは意外と重いのでスコスコだと振られる。ギュッギュッと圧入するぐらいが丁度いい。
ポールを22ミリの穴へゴリゴリ押し込み、押し込んだ状態で抜け止め用の丸い樹脂板をハンドプレスで圧入。この抜け止めは頭部に接触するので大きい方がいい。贅沢にΦ100のポリアセタール樹脂を活用した。
「できた!」



この時点でガタがあってはいけない。回転方向に回ってもよいが前後左右に振られるのはよくない。
「ちゃんと自立し倒れないか?」



「よーし倒れん!」
ガタがないから全くフラフラしなかった。
「引っくり返してもパラソル軸とヘルメットはブレる事なくセンターラインをキッチリ保つか?」



「よーし合格!次はマネキンにかぶせて安定度チェック!」



「よーし合格!」



「横顔よーし!」



「よし・・・」



ほれぼれチェックに励んでいたら「実際にかぶってみろ」とギャラリーが言った。
「了解!」
せっかく着脱可能にしたので、まずはパラソルを抜いてヘルメットをかぶった。



これにパラソルを刺してクランプ連結。



「見よ、このちゃんとしたパラソル感!お日様完全シャットアウト!」
パラソル付きヘルメットが完成した。
試しにその辺を歩いた。
「いいっ!これはいいっ!世紀の大発明だ!」
が、ふわり風が吹いた。
「ごっ!」
何だろう、意識が遠のき呼吸が飛んだ。喉とクビが顎紐でクラッシュした。
「はぁぁぁっ!クビがもげたかと思った!」
残念ながら開発を断念し背負う方向に切り替えた。が、ネットで調べるに、そういうモノは世の中にあった。
「あーあ」
パラソル熱は一気に冷めた。


*6月1日追記
これを載せた後「断念」の一文を理系の友がバカにするので何としてでも使えるカタチ仕上げたく材料を発注しました。仕上げます。少々お待ち下さい。


*6月5日追記
ショルダーバック型に改良。



背負うタイプはいい。安定感が違う。ヘルメットと違って風に動じず、歩いても走っても日陰がちゃんと付いてくる。



調整も簡単。ヘルメットは頭囲に応じてサイズ合わせが大変だったけどショルダータイプはほぼ調整不要。男女兼用、背負えば日陰のパラダイス。



むろんパラソルはワンタッチで着脱可能なので、暑い時だけ刺せば良く、普段は普通の背負子として使える。



人間は左側に大事なモノを置くらしいので固定を左に寄せたのも吉。ハンズフリーで相合日傘が楽しめる。
手始めにコレを背負って高校野球(熊本予選)を見に行きます。
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